
「歯周病だとインプラントできないの?」
「インプラントが歯周病になることはある?」
このような疑問をお持ちではありませんか?特に、歯周病が原因で歯を失くしている方にとっては、非常に気になる事柄でしょう。インプラントは人工物なので、歯周病のような疾患とは縁がないと思われている方もいらっしゃいます。しかし、実はインプラントと歯周病は深い関係があるのです。
そこで当記事では、以下の内容を解説いたします。
- 歯周病ってどんな病気?
- インプラントは歯周病になる?
- 歯周病でもインプラントできる?
- インプラント周囲炎を防ぐ4つの方法
当記事を読めば、インプラントと歯周病の関係やインプラント特有の疾患「インプラント周囲炎」について理解できます。記事の後半では、インプラント周囲炎を防ぐ4つの方法についても解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
インプラント治療における最新技術や周辺技術について幅広く知識を得たい方は、こちらの記事で詳しく解説しているので併せてご覧ください。>>【2022年版】インプラントとは?メリットやデメリット、医院の選び方まで全てを徹底解説!
目次
歯周病ってどんな病気?歯茎や骨が溶けてしまう病気

歯周病とは、歯と歯茎の間にある歯周ポケットに繁殖した細菌が、歯肉に炎症を引き起こす疾患です。初期症状では、歯肉が赤みを帯びたり、腫れたりします。痛みを伴うことがほとんどないため、歯周病だと気付くのが遅くなるケースが多いです。
さらに、歯周病が進行すると、歯茎や骨が溶かされたり、化膿したりします。それを放っておくと、最終的には歯がぐらぐらして抜けてしまいます。日本人が歯を失う理由の2大要因は、虫歯と歯周病です。特に40代後半からは、歯周病で歯を失う割合が、虫歯よりも高くなっています。
インプラントは歯周病にならない?「インプラント周囲炎」になる

結論からお伝えすると、インプラントも、歯周病に似た「インプラント周囲炎」になる可能性があります。インプラントは人工物なので、虫歯になりません。その延長で、インプラントは歯周病とも無縁と考える人が少なくないです。
しかし、適切なメンテナンスを怠ってしまうと、歯周病に非常に似たインプラント周囲炎が発症してしまいます。インプラント周囲炎の仕組みは、歯周病とほとんど同じです。インプラント周囲に蓄積した歯垢に細菌が感染し、インプラントを支えるあごの骨が溶けるなどの炎症が起きます。
インプラントは人工物で免疫力がないため、一度インプラント周囲炎が発症してしまうと、あっという間に悪化してしまうケースが多いです。歯周病と同じく、初期症状のうちに気づくことが難しいので注意が必要です。
インプラント周囲炎になると最悪インプラントが抜けてしまう場合も
基本的に、インプラント周りの炎症の進行段階は、以下の2段階に分けられます。
- インプラント周囲粘膜炎
- インプラント周囲炎
インプラント周囲粘膜炎は、インプラント周囲炎になる一歩手前の段階です。主に、歯肉が腫れたり、出血したりします。痛みを伴わない場合がほとんどなので、気づかないうちに症状が進行してしまうケースが多いです。そして、いつの間にかインプラント周囲炎を発症してしまうのです。
インプラント周囲炎になると、次第に歯肉が退縮したり、あごの骨が溶かされたりします。さらに、インプラントを支えるあごの骨が薄くなった結果、インプラントがぐらぐらしてしまい、抜け落ちてしまう可能性もあるのです。
このような最悪の結果を招かないためにも、ご自宅と歯科でのメンテナンスを徹底し、インプラント周囲炎を予防しましょう。インプラント周囲炎の4つの予防法については、後述するので併せてご覧ください。
歯周病だとインプラントできない?事前の歯周病治療が必須

歯周病でもインプラントを入れることはできます。しかし、歯周病の病原菌が口内に残ったままインプラントを入れているため、インプラントが細菌に感染するリスクが非常に高いです。インプラントが細菌に感染すると、インプラント周囲炎が発症してしまいます。つまり、インプラントの失敗です。
そのため、歯周病の方は、必ず歯周病の治療を先に行ってください。まともな歯科医院であれば、歯周病を残したままインプラントを入れるようなことはしないでしょう。それは、失敗が目に見えているからです。
たしかに、歯周病を治してからインプラント治療に移るので、治療期間は延びてしまいます。しかし、インプラントを10年、20年と長く使用していくためには、初期の歯周病治療が重要です。
当院では、日本歯周病学会の認定衛生士と共に、歯周病治療の段階からしっかりと患者様をサポートいたします。歯周病が原因でインプラントを検討している方は、下記よりぜひお問い合わせください。
インプラント周囲炎の4つの予防法!対策してインプラントを長持ちさせよう

インプラントも、歯周病とよく似たインプラント周囲炎を引き起こす可能性があると解説しました。インプラント周囲炎が発症すると、最悪の場合、インプラントが抜け落ちてしまいます。
インプラントは自費診療で、さらに治療費も高額なので、可能な限り長く使用していきたいですよね。インプラントを長持ちさせるためには、インプラント周囲炎にならないよう、徹底的に予防する必要があります。
インプラント周囲炎の主な予防法は、以下の4つです。
- 事前治療で歯周病を治しておく
- 日々のセルフケアを徹底する
- 歯科での定期メンテナンスを行う
- 禁煙・節煙する
これら4つの予防法について、以下でそれぞれ詳しく解説します。インプラント治療を検討している方は、ぜひご覧ください。
インプラント周囲炎の予防法①:事前治療で歯周病を治しておく
歯周病の方は、インプラント治療を開始する前に、歯周病を治しましょう。歯周病のまま、インプラントの手術を行うと、手術直後にインプラントが細菌に感染してしまう可能性もあります。さらに、症状がひどく化膿すると、入れたばかりのインプラントを撤去しなければいけなくなることも。
インプラント治療前には、レントゲン検査や細菌検査を行って、歯周病かどうかチェックします。歯周病が見つかった場合は、歯周病の治療から始めていきましょう。
インプラント周囲炎の予防法②:日々のセルフケアを徹底する
インプラント周囲炎を防ぐためには、ご自宅での日々のケアが最も重要だと言っても過言ではありません。日々のケアを怠ってしまえば、どれだけインプラント手術がうまくいっても、すぐにインプラントがダメになります。
ブラッシングやフロスを用いて、食べ物の汚れが残らないようにしましょう。デンタルリンスも併用するとなお良いですね。正しいブラッシング方法でケアされている方は、実は多くありません。セルフケアの方法に自信がない方は、丁寧に指導いたしますので、気兼ねなく質問してくださいね。
インプラント周囲炎の予防法③:歯科での定期メンテナンスを行う

インプラント治療後も、定期的に歯科医院に通って、メンテナンスを受けましょう。どれだけ毎日のケアを徹底していても、汚れは日々溜まっていくものです。特に、奥歯の溝など清掃が行き届きにくい場所は歯垢が蓄積しやすいです。歯科医院では、そのような患者様のケアで行き届かなかったところを、専用器具と専用薬剤を使ってクリーニングします。
また、歯科医院でのメンテナンスは、クリーニングだけではありません。レントゲン検査を行って、あごの骨やインプラント体に異常がないかどうかも検査します。インプラント周囲炎は自覚症状なく進行しやすいので、定期的に歯科医院に通って、初期症状を見逃さないようにしましょう。
インプラント周囲炎の予防法④:禁煙・節煙をする
喫煙習慣がある方は、インプラント周囲炎を発症するリスクが高いです。なぜなら、タバコに含まれるニコチンが悪影響を及ぼすからです。ニコチンは、血流を悪くします。血流が悪くなると、歯茎の免疫力が低下し、細菌が感染しやすくなります。その結果、インプラント周囲炎が発症してしまうのですね。
そのため、インプラントを入れる場合は、禁煙・節煙しましょう。歯科医院によっては、禁煙指導が入ることもあります。最初から禁煙が難しい人も、禁煙をゴールに、少しずつ節煙していくことが重要です。
まとめ:インプラントの歯周病「インプラント周囲炎」に要注意!適切なケアで予防しよう

当記事では、インプラントと歯周病の関係やインプラント特有の疾患「インプラント周囲炎」について解説しました。インプラントは人工物なので、虫歯にはなりません。しかし、適切なメンテナンスを行わなければ、歯周病によく似たインプラント周囲炎を引き起こしてしまいます。
また、インプラント周囲炎が進行すると、最悪の場合、インプラントが脱落してしまいます。貴重な時間やお金を費やして入れたインプラントが、すぐダメになってしまうのは避けたいですよね。インプラントを長持ちさせるためには、インプラント周囲炎にならないよう、予防を徹底することが必要です。
インプラント治療前に歯周病が見つかった方は、必ず歯周病の治療を先に行ってください。また、インプラントを入れた後も、ご自宅でのケアを正しく行いましょう。歯科医院でのメンテナンスも非常に重要なので、忘れずに適切な頻度で受診してくださいね。
当院では、インプラントを入れた後が本当のスタートだと考えています。定期的にメンテナンスを行って、患者様のインプラント生活をサポートしていくので、ぜひお気軽にお問い合わせください。